高次脳機能障害 就労日誌

17歳で自殺未遂、高次脳機能障害に。リハビリ、職業訓練を経て障害者枠で正社員就労中 ASD積極奇異。精神2級。

60年と20年

先日、父が還暦を迎えました。

同じように、いつも良くしてくれる直属の上司も還暦を迎えました。

私は今、24歳なので、両者とも実に倍以上の年月生きてきた人です。

社会に出てからの年月すら、私の人生より長いということです。

今までの人生は、ほとんど前菜のようなものなのかもしれません。

 

父は、ほとんど自分のことを話さないので、

聞かない限りは、自分の思い出話すら話しません。

母と外国へ旅行に行った写真を見せてもらって、

ここはどこか、なにが美味しかったのかと、

質問をしないと、自分から説明してくれません。

なので、私と父との会話は、さながら記者会見の質疑応答のような、

はたまた孔子と弟子の問答のような、

哲学探究じみた内容によく行き着きました。

話しているといつも言い負かされたような気持ちになっていました。

 

反対に、今の上司はとてもおしゃべりです。

会報を出し、テレビや新聞の取材もくる程の

規模と歴史を持つ地元の天文研究会の会長で、

そして、野鳥観察の第一人者でもあり、

双眼鏡と望遠鏡が家宝、というなかなかいないレベルの趣味人間です。

私の父と母は、旅行先で知り合った恋愛結婚でしたが、

(母が曰く、結婚してくれないなら殺すと迫ったという)

部長は、姉さん女房と古典的なお見合い結婚をした人で、

今は、奥様の実家に同居して、毎朝横須賀から

電車で片道一時間半かけて出勤しています。

新卒でこの会社に入ってきたわけではないものの、

勤続30年を超えているようで、流石内外の人脈が広いようです。

今までは、その年代の人の特徴として、

男はこうであれ、女はこうであれ、と枠にはめて

考える傾向の人が多いと肌で感じていましたが、

不思議に部長は物腰が柔らかく、感情的になったり、

女性らしさを無理に押し付けようなどということはなく、

同じくらいの娘がいると、親身になってくれ、

嫌な顔一つせず、なんどでも仕事を教えてくれるのです。

豚毛のブラシで髪の毛を整えてから退勤するのを見て、

ああ、これがあるべき大人の姿なのかな…と妙に腑に落ちました。

 

でも、そんなふうに神格化していると、肩透かしをくらいます。

願望を押し付けすぎると、イメージ通りでなかった時、

少なからず怒りを感じるのです。勝手なものです。

誰にでも、一長一短、いいところがあれば、悪いところもあります。

それらをいちいちあげつらって、拡大解釈して、

ゼロイチ思考で良い悪いの判断など、してはなりません。

良い時も悪い時もあり、それはそれとして、

それだけで判断してはならないのです。

価値観は法でも秩序でもありません。

自分でしっかり芯を持った行動をしていれば、

他人のことを責めなくてよくなります。

 

年月を経て出来た年輪が、傷や穴すら美しく雄大であるように、

磨かれた光る石になれなくても、削れて丸くなった川底の石のように、

誰かの手に優しく馴染む石になれたらいいと思います。